多義性解消としての圏点

圏点(傍点、脇点)とは、「文字のそばに付けて注意を促したり、その部分を強調したりするしるし」(JIS Z 8125)のことであり、そのしるしとして一般には⟨﹅⟩が用いられます。ここで、小学生の頃から疑問に思っていたこととして、文脈に照らし合わせればどう考えても注意も強調もしておらず、むしろ可読性の低さや多義性を解消するために圏点が付されている場合がたまに見受けられ、その場合はほぼすべてが昭和期に書かれたような古い文章だという個人的な観測事実がありました。ところで、最近また自分だけの正書法を見直したくなってきたので、初心に帰って文化庁のHPを眺めてみると、このような記述を発見しました。

呼び名 符号 準則 用例
(9) ワキテン ﹅﹅﹅ 一、ワキテンは、原則として、特に読者の注意を求める語句にうつ(例1)。 (1) こゝにも一人の路傍の石がある。
二、観念語をかなで書いた場合にうつ(例23)。 (2) 着物もあげによつて兄にも弟にも使へる。
(3) ひるといふ言葉は、元来はよるに対して用ひたものであるが、おひるといつて昼飯のことを意味するやうになつたのは、
三、俗語や方言などを特に用ひる場合にうつ(例4)。 (4) ぴんからきりまである。

くぎり符号の使ひ方〔句読法〕 - 文化庁

言われてみればたしかに、三番目の用法も散見されることに気づきました。

おそらく私がずっと気になっていた「多義性解消 (word-sense disambiguation) としての用法」は、二番目の「観念語をかなで書いた場合にうつ」という用法から派生した副産物か、あるいはまったく同一のものだと考えられます。というわけで、改めて検索しなおすと何とドンピシャの知恵袋の質問が存在することがわかりました。

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周りの人間でこれに共感してくれる人がいないような気がずっとしていたので、今日は何だか一段と救われた気分です!